“顧客のニーズを特定すること”が営業活動の最大の目的です。ニーズに顧客が気付いていればいいのですが、たいていの顧客は自分のニーズに気が付いていません。その意味でもヒアリングのフェーズは営業活動において非常に重要であり、しっかりとニーズを引き出すことでその後の提案・契約がスムーズに行えます。ただ、ヒアリングを行うのは非常に難しいです。私も習得するまでに数年かかりました。難しいヒアリングを現場で効果的に行えるように目的ごとにしっかり準備をしましょう。
目次
結論。ニーズを引き出すヒアリングにおいて最初の質問は“現状の確認をする質問”
現状の確認をする質問とは、主に現状の戦略や活動、取り組みなどを詳細に明らかにしていくことです。我々営業は顧客にとってコンサルのように戦略を立案するお手伝いをしたり、解決策を提案したりすることが目的です。その過程で製品やサービスが売れていくといった仕組みを顧客と共に作り上げると、売ることが目的にならずに問題解決という共通目的の中で、勝手に製品・サービスが売れていくというモデルを構築することができます。問題解決を商材にしているコンサルティングファームなどでは戦略の立案を立てるのに1ヶ月にも及ぶヒアリングの時間を取っています。それほど、当事者が持っているナレッジは重要なのです。
現状の確認をする質問で達成したいこと:顧客の状況と取り組みを確認する
顧客のビジネスの理解と実務の把握を行っていないとヒアリングする項目を特定することが難しくなります。質問することで現在の取組みの詳細を明らかにしていくのですが、質問をできる時間は限られています。できるだけ事前に調べておいて、顧客が“この営業担当者はよく考えてくれているな”と思われるような質問を組みたてて訪問することが大切です。会社が相手の場合調べるツールはたくさんあります。ホームページは情報の宝庫ですし、会社をWebで検索することで会社の過去の取組みがわかることも多いです。調べていれば顧客が言う内容もより深く理解できるので、最短でニーズを引き出せるかもしれません。また先に資料をもらって勉強させてもらうのも有効な手だと思います。
現状の質問を行うコツ:戦略・戦術・アクションプラン・結果に対して質問する
営業が売ることだけを目標にしていては、真の問題解決には至りません。その観点から考えますと、営業は戦略の成り立ちを理解して、戦略に応じた質問項目を準備することが大切です。営業がマーケティングを勉強する意味はここにあります。戦略とは、これから向かう方向・ゴールの事。戦術とは、ゴールや方法に実際に向かうために行う事、です。まずは顧客の戦略をお聞きして、そのために何を行っているのか?を具体的に聞いていきましょう。また取組み対する部署ごとのアクションプランも非常に重要です。まとまったものが無ければ、それをまとめることも顧客ニーズに繋がるかもしれません。また面談時点での取り組みの結果をどのように把握しているか、結果はどうか?という部分も顧客によってはまとめられてない場合もあります。
- 今年のゴール(戦略)は何か?
- そのゴールを実現するためにどういった取組み(戦術)をしているか?
- アクションプランの進捗はどういう状況か?
- 現在時点での戦略に対する取り組みの結果は?
現状の質問に対する顧客の反応に対して:5W1Hで追加質問をする
顧客は我々の質問に対して答えてくれると思いますが、顧客からの答えだけで全てが網羅できていないことがほとんどです。すべての質問に抜け漏れなく答えられる人はかなり稀でしょう。そういった時も営業の腕の見せ所です。追加で質問をすることで、顧客が考えていることを明らかにしていきましょう。また顧客としてもあえて情報を出していないことは稀で、情報が整理できていないためにうまく伝えられないことがほとんどです。そういった場合には、営業がナビゲーターとなって、欲しい答えを引き出してあげることが大切です。基本的には質問に対する答えに対して、5W1Hで追加質問をしていくことが大切です。戦略を聞くと答えが返ってくると思います。それは“What”に当たるものであることが多いでしょう。その“What”を、いつまでに、誰が、何のために、どの分野で、どうやってやるのか、という風に網羅的に聞くことで、戦略の概要が明確になっていくことでしょう。
現状の質問に対する顧客の反応に対して:フレームワークを使って追加質問をする
追加質問をしても、いまいち全体像がつかめずに、面談として物足りないことがあるかと思います。それは聞くべき要素が足りないことが関係しているのではないでしょうか?そういった時、私はフレームワークを意識していくことにしています。顧客は、3C分析、SWOT分析、PEST分析など、自社や競合他社、環境について分析をして、その結果として戦略を立てています。それであれば、質問の時には、競合の事や、自社の強み弱み等、フレームワークに沿った質問をすることも必要かと思います。ただし、自社で環境や競合については情報を持っておいて、その顧客が情報に関して薄い場合には、それ自体も今後届けるサービスとすることが良いでしょう。ただし、あくまでヒアリングのフェーズでは顧客から今すぐにその情報が欲しい、と求められない限りはヒアリングに徹することが必要です。
まとめ
いかがでしたか。ヒアリングは非常に重要な営業のフェーズです。これを実践すればTop営業に近づくこと間違いなしです。ただちゃんと行おうと思うと努力が大切になります。でも努力した分、自分のものになっていきます。そして未来には事前の準備もそこまでたくさんしなくても現場で力を発揮できるようになるのです。今後も目的別の質問の必要性、質問方法など詳細に書きたいと思います。ぜひ現場で実践してみてくださいね!